葉酸で動脈硬化を予防できるか?

葉酸で動脈硬化を予防できるって本当?

動脈硬化

 

葉酸にはさまざまな効能があります。

 

その一つに「動脈硬化を予防する効果がある」というものがありますが、果たして本当なのでしょうか?

 

今回は葉酸の動脈硬化予防について見ていきたいと思います。

 

目次

  1. 動脈硬化とは
    1. 動脈硬化が進行すると
  2. 動脈硬化とホモシステインの関係
    1. ホモシステインとは
    2. コラーゲンを劣化させるホモシステイン
  3. 葉酸は血中ホモシステイン値を低減させる
    1. 「葉酸は動脈硬化予防に効果がある」と言えるか?
  4. まとめ

 

動脈硬化とは

まずはじめに動脈硬化とはどういうものか確認しておきましょう。

 

動脈には血液を体全体に運ぶという大事な役割がありますが、若い人の動脈はしなやかで弾力性があり、体の各所にスムーズに酸素や栄養を運びます。

 

しかし、年齢を重ねると次第に動脈は固くなりしなやかさを失い、血液が流れにくくなります。

 

この固くなった動脈に、高血圧や糖尿病などの要因が重なると、血管の内壁が傷つきやすくなるのですが、血液中のコレステロール(LDLや中性脂肪)が多すぎると、この傷部分に酸化した脂肪物質がドンドン溜まっていきお粥のような状態になります。このお粥状のものを粥腫(じゅくしゅ)といいます。

 

一般に「動脈硬化」といえばこの「粥状動脈硬化」のことを指します。

 

動脈硬化が進行すると

このお粥状の粥腫が大きくなると、その分だけ血管が狭くなり、血液の流れが悪くなります。そして大きくなりすぎて破裂、崩壊してしまうと、血栓が生じ、血液の流れを止めてしまいます。

 

これは体のどの箇所でも起こる可能性があり、脳動脈で起これば「脳梗塞」や「脳出血」、冠動脈で起これば「心筋梗塞」、胸部や腹部大動脈で起これば「大動脈瘤」、腎動脈であれば「腎機能障害」など、いずれにしても生命にかかわる重篤な病気の原因となります。

 

動脈硬化とホモシステインの関係

動脈硬化の原因は加齢だけでなく、喫煙や高血圧などさまざまな危険因子があります。

 

このうち、近年特に注目を浴び出したのが血液中の「ホモシステイン」という物質です。

 

ホモシステインとは

 

ホモシステインはアミノ酸の一種で、必須アミノ酸である「メチオニン」と「システイン」が生成される過程で一時的に作られます。

 

この一時的に作られたホモシステインは、本来ならメチオニンもしくはシステインに代謝しますが、この代謝経路に異常があるとホモシステインが増大します。

 

増えたホモシステインは血中のLDL(悪玉)コレステロールを酸化させ、血管の壁に付着させやすくします。付着した酸化LDLは異物とみなされ、免疫機能によって白血球から変化した「マクロファージ」によって捕食されます。

 

酸化LDLを食べ過ぎたマクロファージはやがて自身も酸化され、残骸となって血管の内皮細胞の内側に溜まっていき、さきほどの粥腫になるわけです。

 

コラーゲンを劣化させるホモシステイン

またホモシステインは、血管の中膜の主成分であるコラーゲンの質を低下させ、血管のしなやかさを奪います。

 

コラーゲンが適度な弾力を保つのには、分子間の正常なつながりが重要です。

 

このつながりのことを「コラーゲン架橋」と言います。

 

ホモシステインは正常なコラーゲン架橋に必要な「LOX(lysyl Oxidaze:リジルオキシダーゼ)」という酵素濃度を低下させ、逆に過剰に架橋を形成ししなやかさを奪ってしまう「AGEs(糖化最終産物)」という物質を産生させやすくするのです。

 

葉酸は血中ホモシステイン値を低減させる

さきほどの説明で、ホモシステインの増大はメチオニンの代謝異常が原因と述べましたが、この代謝に必要な栄養素が葉酸です。

 

葉酸とその相棒であるビタミンB12が不足すると、ホモシステインからメチオニンへの代謝が阻害されます。

 

ビタミンB6が不足するとホモシステインからシステインへの代謝が阻害されます。

 

その結果、代謝されないホモシステインが増大してしまう、というわけです。

 

この葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6などのビタミンB群が持つ、動脈硬化のリスク低減効果については、疑問視する声もありました。

 

しかし、現在では国立健康・栄養研究所においても、「葉酸は、ホモシステインからメチオニンを生成するのに必要とされるため、不足するとホモシステインが血中に蓄積し、動脈硬化の危険因子となります」としています。

 

「葉酸は動脈硬化予防に効果がある」と言えるか?

では、「葉酸は動脈硬化予防に効果がある」と言えるのでしょうか?

 

というのも、今述べた国立健康・栄養研究所の文言は「(葉酸不足は)動脈硬化の危険因子となります」というものでした。

 

不足すれば危険なのだから、葉酸を摂っておけば予防になる、とも言えそうですが、明確に「予防になる」と言いきってるわけでもありません。

 

これはおそらく、『ナチュラルメディシン・データベース』(NMCD)の記載がそうなっているためだと思われます。

 

『ナチュラルメディシン・データベース』(NMCD)

ナチュラルメディシン・データベース(NMCD)は、健康食品やサプリメントに使用されている、素材や成分の安全性や有効性を網羅したデータベース。アメリカ・イギリスをはじめ世界各国の政府機関で採用されており、現在世界で最も信頼できる情報データベースのひとつ。近年、医薬品との相互作用などを探す目的で医療関係者の現場でも利用され始めている。独立行政法人「国立健康・栄養研究所」のサイト上にある『「健康食品」の安全性・有効性情報』もここを典拠にしている。なおデータベース利用には会員登録(有料)が必要。

 

著作権の関係で詳しく述べることはできませんが、ナチュラルメディシン・データベースの日本版刊行物『健康食品・サプリメント(成分)のすべて2017』においても、直接「葉酸が動脈硬化予防になる」とは書いていません。

 

しかし、有効性が比較的高いレベルの項目で、葉酸はホモシステイン値を低下させるとしています。

 

また、ホモシステインの値が高いと、動脈硬化を引き起こしやすいことも科学的に解明されています。

 

このことから考えれば、

 

動脈硬化にならないようホモシステイン値を上げない

そのため葉酸不足にならないよう気を付ける

そのため葉酸を摂取する

 

という論は成り立つはずです。

 

もちろん、動脈硬化の原因は他にもあるので、葉酸だけが予防法ではありませんが、危険因子を減らすことは重要です。

 

少々まわりくどい言い方かもしれませんが、国立健康・栄養研究所の言う「(葉酸不足は)動脈硬化の危険因子となります」は、「葉酸は動脈硬化の予防になる」ことを示唆していると言えるでしょう。

 

まとめ

動脈硬化の予防には、コレステロール値を抑えることがメインストリームでしたが、現在ではそれのみならず、ホモシステインとの関係が注目されており、研究も盛んに行なわれています。

 

葉酸をはじめとするビタミンB群が、これにどう影響を与えるかはまだまだ研究途中ですが、葉酸がメチオニンの代謝に必要であることは厳然たる事実です。

 

葉酸不足に陥らないよう、食事またはサプリメントでしっかり摂取しましょう。

 

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