葉酸サプリの過剰摂取が小児喘息の原因になるは本当?

葉酸サプリの過剰摂取が小児喘息の原因になるは本当?

ママと赤ちゃん

 

「葉酸サプリを飲むと生まれてくる子供が小児ぜんそくになりやすい」、という情報がネット上に頻繁に見られます。

 

妊活中の女性にとっては、葉酸はサプリから摂るように言われたのにどうすれば良いのか、と疑問に感じておられる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、この情報の要旨と問題点を解説し、「具体的にどうすればよいか」を示していきたいと思います。

 

目次

  1. 葉酸サプリの過剰摂取が小児喘息の原因になるか否か
  2. オーストラリアでの研究結果
  3. 厚生労働省の基準と通達
    1. 我が国の基準を見てみると
    2. 厚労省が葉酸サプリを推奨している時期
  4. まとめ

 

葉酸サプリの過剰摂取が小児喘息の原因になるか否か

この葉酸サプリと小児喘息の関係を最も正確に表現するなら、

 

葉酸サプリを妊娠後期に過剰摂取すれば、胎児の小児喘息になる可能性が高まるという実験結果がある。

 

となります。

 

誤解してほしくないのは、「葉酸サプリを飲めばリスクが高くなる」わけではありません。

 

あくまで、

 

  • 妊娠後期
  • 過剰摂取

 

という条件がそろったときにリスクが高くなった、という研究結果が出ている、ということです。

 

オーストラリアでの研究結果

そもそもの発端は、オーストラリアでのコホート研究(要因と疾病発生の関連を調べる疫学研究)の結果がアメリカの疫学雑誌に発表されたことでした。

 

「Effect of Supplemental Folic Acid in Pregnancy on Childhood Asthma: A Prospective Birth Cohort Study 」(妊娠期の葉酸サプリが小児喘息に与える影響:予測出生コホート研究)American Journal of Epidemiology  Advance Access published October 30, 2009 DOI: 10.1093/aje/kwp315
(出典:https://academic.oup.com/aje/article/170/12/1486/158006/Effect-of-Supplemental-Folic-Acid-in-Pregnancy-on?searchresult=1

 

このコホート研究の要旨は、

 

葉酸を食事からしか摂取しなかった母親から生まれた子供に比べ、妊娠後期(30~34週)にサプリから葉酸を摂取した女性から生まれた子供は26%、小児ぜんそくの発症リスクが高まった。

 

というものでした。

 

小児ぜんそくデータ

 

ここで注意しなければならないのが、サプリメントから摂取した葉酸の量と摂取した時期です。

 

厚生労働省の基準と通達

我が国の基準を見てみると

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2015年版)[PDF]」において、各栄養素の1日に摂取すべき量と、過剰摂取による弊害があるものについては1日の許容上限値を定めています。

 

葉酸の上限値は1,000μg/1日となっています。

 

では、この実験において、サプリメントからの葉酸は1日にどれくらい摂取していたのでしょうか?

 

小児ぜんそくデータ02

 

単位を見てみると「mg」となっています。

 

1mgは1,000μgですので、これは厚生労働省の発表している葉酸の許容上限の数値です。

 

つまり、この実験結果は、日本の摂取基準を考慮して見た場合、妊娠後期に許容上限値を超えた葉酸を摂取したらぜんそくのリスクが上がった、ということができます。

 

厚労省が葉酸サプリを推奨している時期

また、同じく厚生労働省は、2000年12月に出した妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取の係る適切な情報提供の推進について[PDF]という長ったらしい通達のなかで、葉酸を摂取する時期を

 

妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスがとれた食事が必要であること。

 

としています。

 

つまり妊娠3ヶ月以上の場合は葉酸サプリを推奨していないのです。

 

コホート研究でリスクが高まったのは妊娠後期(30~34週)の女性から生まれた子供ですから、妊娠3ヶ月以降は葉酸サプリを飲まなければ全く問題ということになりますね。

 

食事からの葉酸摂取推奨は本末転倒

いっぽうで、この研究結果では「食事からの葉酸摂取では小児ぜんそくのリスクは高まらなかった」ともしています。

 

このことを根拠に、「妊娠前や妊娠初期から摂取する葉酸はサプリメントではなく食事から摂るようにしましょう」と謳っているようなサイトもありますが、これは本末転倒です。

 

そもそも厚生労働省が妊娠を希望する女性に推奨しているのは「栄養補助食品」からの葉酸400μgの摂取です。

 

そして先ほどの上限値1,000μgも、食事からの摂取量はカウントしておらず、あくまで合成葉酸の摂取上限値であると、わざわざ厚労省は但し書きしています。

 

まとめ

葉酸サプリを摂取する目的は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低下させるためです。

 

そしてその葉酸は合成葉酸(モノグルタミン酸葉酸)でなければなりませんが、妊娠後期も葉酸サプリを飲み続ける場合は、過剰摂取をすると小児ぜんそくを発症する子供が生まれる可能性が高まるので、1日に葉酸サプリから摂取する葉酸の量は1,000μgを超えないようにしましょう。

 

基本的にどの葉酸サプリも、1日の葉酸摂取量を400μgにさだめて1日に飲む錠剤の数を推奨しています。

 

葉酸サプリは薬品ではないので、販売会社は1日の飲む量を指定することはできませんが、「目安」を表示しているはずです。

 

また、厚生労働省が葉酸サプリを推奨しているのは妊娠3ヶ月までですが、食事からの葉酸摂取で推奨量をクリアするのがそこそこ面倒であり、かつその他の栄養素を効率よく摂取できることを考慮すれば、出産まで葉酸サプリを飲むことはむしろ母体に良いと思われます。

 

妊娠初期と同じだけ飲んでも上限値1,000μgを超えることはありませんので、小児ぜんそくの心配をする必要はありません。

 

大事なのは「飲み過ぎない」ことだけです。

 

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