免疫力と葉酸の関係

免疫力と葉酸の関係

免疫力

 

葉酸と免疫力に密接な関係があるのはたしかです。ネット上には「葉酸には免疫力を高める効果も」などと謳っているサイトもあります。

 

しかし、この表現は必ずしも正確とは言えません。

 

「免疫力を高めるにはビタミンが重要で、葉酸はその重要なビタミンの一つ」という表現が一番現実に即していると言えるでしょう。

 

ではなぜビタミンが重要なのか?また葉酸は免疫力とどう関係しているのか?

 

免疫のしくみをビタミンとの関係に触れながら解説していきたいと思います。

 

目次

  1. 免疫力とは
  2. 免疫のしくみ
    1. 免疫の第一段階
    2. 免疫の第二段階
    3. 免疫の第三段階
  3. 免疫とビタミン
    1. 粘膜の形成に必要なビタミン
    2. 造血のビタミン、葉酸とビタミンB12
    3. 細胞膜を守るビタミンE
    4. インターフェロンを活性化するビタミンC
  4. まとめ

 

免疫力とは

免疫または免疫力とは、簡単に言うと自己防衛機能です。

 

病原体やウィルスなどの外敵が体に侵入するのを防いだり、ガン細胞などの体に有害な細胞を除去したりするシステムで、これがなければ人は生きていくことができません。

 

免疫のしくみ

自己防衛機能である免疫のしくみを3つの段階に分けて解説していきます。

 

免疫の第一段階

まずは異物の侵入を阻止する第一段階、いわば最前線ですが、ここで重要な働きをしているのが鼻や口などの粘膜です。

 

人間の体のうち、呼吸や食事などで外部から「異物」が侵入してくる箇所は基本的に「粘膜」になっています。

 

鼻水や痰は、細菌などの異物を体外に排出しようして分泌される粘液で、風邪を引いて鼻水が出やすくなるのも、体が異物をできるだけ追い出そうとしている免疫反応の一つです。

 

免疫の第二段階

最前線の粘膜で阻止できず、異物の体への侵入を許した場合は第二段階の免疫機能が発動します。

 

ここからの主役は免疫細胞=白血球です。

 

免疫機能の主役である白血球

白血球は大きく3種類に分類することができ、またそれぞれの役割によってさらに種類が分かれます。

単球

マクロファージ
樹状細胞(じゅじょうさいぼう)

リンパ球

T細胞
NK(ナチュラルキラー)細胞
B細胞

 顆粒球

(かりゅうきゅう)

好中球(こうちゅうきゅう)
好酸球(こうさんきゅう)
好塩基球(こうえんききゅう)

 

単球と顆粒球の役割

体内に細菌などが侵入すると、まず好中球好酸球などの顆粒球がこれを攻撃をします。

 

顆粒球が処理しきれない場合はマクロファージが残りを食べるのですが、その際マクロファージは樹状細胞とともにその細菌の情報をT細胞の一つ、ヘルパーT細胞に送ります。

 

このマクロファージや樹状細胞が、異物=抗原の情報を自身の細胞表面上に提示することを「抗原提示」といいます。

 

すぐさま攻撃を始めるNK細胞

NK細胞は普段から体内をパトロールしており、ガン細胞やウィルス感染細胞を見つけるとこれを攻撃し、殺します。キラーT細胞や抗体のようにヘルパーT細胞の指令を待つことなく攻撃することができるのでナチュラルキラー細胞と呼ばれています。

 

なお、ここまでの第一段階から第二段階までの免疫は、生まれた時からあらかじめ備わっている免疫なので、「自然免疫」と呼ばれています。

 

免疫の第三段階

ここまでですべての抗原を撃退できない場合は第三段階に移ります。

 

マクロファージや樹状細胞の抗原提示を受け取ったヘルパーT細胞が、他のリンパ球に指令を下します。

 

ヘルパーT細胞は免疫機能の司令塔のような役割を果たしており、その主な指令としては

 

  • B細胞に抗体を作る指令
  • キラーT細胞への攻撃命令
  • サイトカインを分泌

 

などがあります。

 

B細胞と抗体が細菌を攻撃

ヘルパーT細胞から指令を受けたB細胞は、撃退すべき細菌=抗原にあった抗体を産生するため、抗体生産細胞に変化し、またその情報を記憶します。

 

このB細胞の抗体による細菌に対する免疫のことを液性免疫といいます。

 

キラーT細胞が細胞を攻撃

キラーT細胞はヘルパーT細胞の指令を受けて初めて攻撃を開始します。

 

キラーT細胞が攻撃するのはガン細胞や細菌に侵された細胞で、これらを始末するとそのほとんどが死んでしまいますが、一部はメモリーキラーT細胞として残り、次にまた同じ敵が来た時に備えています。

 

このキラーT細胞の悪性細胞に対する免疫を細胞性免疫といいます。

 

また、液性免疫も細胞性免疫も、もともとある免疫ではなく、いろいろな抗原に感染することで獲得する免疫なので、獲得免疫と呼ばれています。

 

サイトカインとは

サイトカインは免疫機構の調整に重要な役割を果たすたんぱく質です。

 

ヘルパーT細胞やマクロファージから分泌され、NK細胞やキラーT細胞、抗体を活性化させたり、他の白血球を増殖させたりします。

 

免疫とビタミン

つぎに、免疫の各段階におけるビタミンの役割について説明します。

 

粘膜の形成に必要なビタミン

第一段階の粘膜の形成に重要なのがビタミンAやビタミンC、ビタミンB2です。

 

なかでもビタミンAは粘膜の上皮細胞の形成や粘液の産生にも関わっており、これが不足すると鼻やのどの免疫能力が低下します。

 

造血のビタミン、葉酸とビタミンB12

葉酸とビタミンB12は赤血球の合成に重要です。

 

第二段階以降で活躍する免疫細胞は白血球ですから関係なさそうですが、赤血球がうまく作れない巨赤芽球貧血になると白血球や血小板も作れなくなる「汎血球減少症」につながることもあります。

 

巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を予防する葉酸

 

葉酸とビタミンB12をしっかり摂取することで免疫力低下の予防につながります。

 

細胞膜を守るビタミンE

細胞を覆っている細胞膜が弱いとすぐに細菌などの侵入を許してしまい、細胞が汚染されてしまいます。

 

丈夫な細胞膜の形成にはビタミンEが必要です。

 

インターフェロンを活性化するビタミンC

インターフェロンは先ほど述べたサイトカインの一つで、抗ウィルス作用のある物質です。

 

ビタミンCにはインターフェロンの生成を促す効果があるので、風邪などのウィルスから体を守ってくれるのです。

 

まとめ

体の免疫のしくみとビタミンの関係について解説しました。

 

免疫機能を十分に機能させるためには、いろいろなビタミンが重要であることがわかっていただけたかと思います。

 

葉酸ももちろんその重要なビタミンの一つですが、葉酸だけを摂取しても免疫力の向上にはつながりません。

 

さまざまなビタミンをバランスよく摂取することが大事です。

 

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