播種性血管内凝固症候群とは

播種性血管内凝固症候群(DIC)って何?

播種性血管内凝固症候群のトップ画像

 

播種性血管内凝固症候群は、妊婦特有の疾患というわけではありませんが、常位胎盤早期剥離などの産科的疾患が基礎疾患となりうるので、妊婦さんが知っておくべき疾患の一つです。

 

名称だけではなんとなくわかりにくいですが、しっかり理解して不安のない妊娠生活を送りたいものです。

 

それでは見ていきましょう。

 

目次

  1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)とは
  2. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の原因
    1. 悪性腫瘍(がん)
    2. 白血病
    3. 細菌感染症
    4. 産科的疾患
  3. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の症状
  4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の危険性
  5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療法
  6. まとめ

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは、血管内の様々な場所で血栓ができてしまう症状のことです。

 

「播種」とは種を播(ま)くという意味ですが、体のあちこちに種をまいたように血栓ができることから、この名前が付けられています。

 

本来血管内の血液は、固まらないようにする因子(抗凝固因子)が働いており、また出血した場合には止血の為に固まろうとする因子(凝固因子)が働きます。

 

しかし、なんらかの原因によりこれらの因子が正常に働かなくなり、体の各所で血が固まると同時に、本来固まるべきところで凝固しなくなり、結果大量の出血や臓器の機能不全が起こってしまうのです。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)の原因

DICは単独で発症するものではなく、必ず原因となる疾患(基礎疾患)があります。

 

DICの基礎疾患

  • 悪性腫瘍(がん)
  • 白血病
  • 細菌感染症
  • 産科的疾患
  • 外傷・熱傷

 

悪性腫瘍(がん)

すい臓、肺、前立腺がんなどでは、がん細胞の表面に、血液の凝固を活性化する組織因子が現れ、体の各所に血栓を生じさせます。

 

またがん治療に用いる抗ガン剤でDICが発症する場合もあります。

 

白血病

白血病は血液のがんで、やはり白血病細胞から組織因子が現れ、血栓が発生します。

 

がん、急性白血病と以下で述べる細菌感染症はDICの三大基礎疾患とされ、DIC発祥原因の3/4を占めます。

 

細菌感染症

敗血症のような重篤な細菌感染症にかかった場合はDICを引き起こす確率が高くなってしまいます。

 

敗血症になると病原菌が血管を通じて体全体に広がります。このような状態になると病原菌から出される発熱物質(エンドトキシン)などが白血球の表面に組織因子を産生させ凝固反応を活性化させます。

 

また、血管の内皮細胞が持つ抗凝固作用を低下させるので、体の各所に血栓ができてしまうのです。

 

産科的疾患

妊娠に伴う疾患、特に常位胎盤早期剥離羊水塞栓症はDICを引き起こしやすい基礎疾患です。

 

常位胎盤早期剥離とは

 

産科的疾患によるDICは産科DICとも呼ばれ、

 

  1. 突発的に発症する
  2. 急激に進行する
  3. 基礎疾患とDICの間に密接な因果関係がある
  4. 臓器の機能不全を併発する可能性が高い
  5. 迅速な治療により比較的予後良好になりやすい

 

など、一般的なDICと異なる点が多々あります。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)の症状

DICの二大症状は「臓器障害」と「出血」です。

 

血栓ができて血流が滞ると酸素などが臓器に届かなくなり、様々な機能不全を引き起こしてしまいます。

 

また異常に血栓ができるとそれを溶かそうとする力が強くなりすぎ、本来止血の為に生成される血栓も溶かしてしまい、出血が止まらなくなってしまいます。

 

この二大症状のどちらに振れるかは、血を固める力(凝固)と血を溶かす力(線溶)の優劣で決まります。

 

凝固が優勢であれば血栓が多発し臓器障害に、線溶が優勢であれば止血の為の血栓が溶けて出血に傾きます。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)の危険性

進行が早く出血が大量になれば当然死亡することがあります。

 

また臓器障害が進行すれば臓器が全く機能しない「臓器不全」に至る可能性があり、なおかつ全身で同時進行で起こるので「多臓器不全」に陥る場合もあります。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療法

まずは原因となっている基礎疾患の治療が一番の解決策ですが、これは容易ではありません。

 

薬剤を使用する抗凝固療法を行いながらDICをコントロールしながら、基礎疾患の治療を試みます。

 

出血が続く場合は、失った血液成分を補てんする補充療法が必要です。

 

DICは、血栓が無秩序に発生しながらなおかつ過剰に血栓を溶かそうとするという、いわば真逆の症状が出るため治療は大変困難で、寛解率は50%と非常に低い数字になっています。

 

まとめ

原因となる基礎疾患が重篤なものが多いので、併発することでさらに危険な状態になりやすいのがDICです。

 

死亡率を下げるには早期発見・早期治療が何よりも重要です。

 

妊婦さんの場合は、子宮内圧の上昇がDICの引き金になることが多いので、常位胎盤早期剥離と羊水塞栓症の二つに注意を払っておきましょう。

 

【参考サイト】

 

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