妊娠高血圧症って?その原因、症状、治療法とは?

妊娠高血圧症候群とは

妊娠高血圧症候群

 

妊娠によって起きる病気の一つが妊娠高血圧症候群です。

 

特に40代以上での妊娠でリスク確率が上がるこの病気は、現在の医学をもってしても不明な点が多く、かつ危険な病気です。

 

妊活中の女性、とくに高齢妊娠も視野に入るアラサー女子の方には、ぜひそのリスクについて知っておいていただきたく思います。

 

目次

  1. 妊娠高血圧症候群とは
  2. 妊娠高血圧症候群の原因
  3. 妊娠高血圧症候群の症状
  4. 妊娠高血圧症候群の危険性
    1. 子癇(しかん)とは
    2. HELLP(ヘルプ)症候群とは
    3. 常位胎盤早期剥離とは
  5. 妊娠高血圧症候群の治療法と予防法
    1. 治療法
    2. 予防法
  6. まとめ

 

妊娠高血圧症候群とは

妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧になることで起こる様々な病状を総称する疾患です。

 

日本産科婦人科学会では、妊娠20週以降産後12週までに高血圧を発症した場合を妊娠高血圧症候群と定義しており、そのうち高血圧のみの場合は「妊娠高血圧症」、高血圧と蛋白尿が認められる場合は「妊娠高血圧腎症」と分類しているようです。

 

妊娠中毒症と妊娠高血圧症候群

以前は妊娠中に高血圧、尿蛋白、浮腫(むくみ)のいずれかの症状が見られた場合に「妊娠中毒症」と診断されましたが、現在は浮腫みが診断条件から外され、妊娠高血圧症候群という名称に改められています。

 

また、妊娠20週から32週未満のものを早発型、32週以降に発症したものを遅発型とし、重症化しやすい早発型には注意が必要です。

 

妊娠高血圧症候群の発症頻度は、全妊婦の20人に1人日本産科婦人科学会)とされており、けっして珍しい病気ではありません。

 

妊娠高血圧症候群の原因

明確な原因はいまだ不明とされていますが、いくつかの危険因子は特定されています。

 

特に、40歳以上での妊娠は有意に発症頻度が上がりますので高齢妊娠では注意が必要です。

 

妊活中のアラサー女子に知っておいてほしい、高齢出産のリスク

 

妊娠高血圧症候群の危険因子

  • 15歳以下、または40歳以上
  • 肥満(BMIが25以上)
  • 初産
  • 遺伝
  • 双子などの多胎妊娠
  • 糖尿病、高血圧、腎臓疾患などの持病のある女性
  • 以前の妊娠で妊娠高血圧症候群に罹った女性

 

最近の研究では、胎盤の形成がうまくいかずに血流に支障をきたし、それが各臓器の機能不全を引き起こしているのではないかと言われています。

 

妊娠高血圧症候群の症状

高血圧と診断される基準は、収縮期血圧が140mmHg以上(160mmHg以上で重症)、または拡張期血圧が90mmHg以上(110mmHg以上で重症)となっています。

 

また妊娠高血圧腎症は高血圧に加え、尿中に0.3g/日以上(2g/日以上で重症)の蛋白を含む蛋白尿が認められた場合に診断されます。

 

この他の症状としては、頭痛やめまい、倦怠感などがあります。

 

浮腫(むく)みも妊娠高血圧症候群によく見られる症状ですが、必ずしも特徴的な症状ではなく、妊婦さんの約3割で起こるものです。

 

妊娠高血圧症候群の危険性

重症化した場合は以下のような危険性があります。

 

  • 肝臓・腎臓の機能障害
  • 脳出血
  • 子癇(しかん)
  • HELLP(ヘルプ)症候群
  • 常位胎盤早期剥離

 

これらはいずれも血管が傷むことに起因しており、やはり高血圧による弊害と考えられています。

 

子癇(しかん)とは

子癇は高血圧とともに起きるけいれん発作で、妊娠中、分娩中、産後6~8週の産褥(さんじょく)期に起こりえます。

 

意識障害や視野障害をともない、昏睡状態が長く続くとそのまま意識が戻らず死に至る場合もあります。

 

回復した場合でもその後脳出血や脳梗塞を発症することもあり、また昏睡時の呼吸障害や代謝不良により、胎児の生命の危険にもつながりかねません

 

HELLP(ヘルプ)症候群とは

HELLP症候群は

 

  • 溶血(Hemolysis)
  • 肝逸脱酵素上昇(Elvated Liver enzymes)
  • 血小板減少(Low Platelet count)

 

という3つの病態を持つ疾患のことです。

 

症状としては頭痛や不快感、嘔吐、上腹部の痛みなどがあり、インフルエンザの症状と似ています。

 

発症頻度は全妊婦の0.2~0.6%ですが、妊娠高血圧症候群の妊婦だと4~12%と確率が跳ね上がります(日本妊娠高血圧学会「妊娠高血圧症候群(PIH) 管理ガイドライン2009[pdf]」)。

 

HELLP症候群を発症してしまうと、母体、胎児ともに危険な状態となるので、妊娠34週以降で胎児の肺が成熟していれば、分娩または帝王切開によるターミネーション(妊娠中断)となります。

 

常位胎盤早期剥離とは

赤ちゃんがまだお腹の中にいるにもかかわらず胎盤がはがれてしまう疾患です。

 

発症頻度は、全妊婦の0.5~1.3%で、妊娠32週以降での頻度が高いようです。

 

胎盤がはがれると胎児に酸素が運ばれなくなるので、可及的速やかに分娩を完了させる必要があります。

 

また胎児だけでなく、血が固まりにくくなる「播種性血管内血液凝固(はしゅせいけっかんないけつえきぎょうこ)症候群(DIC)」を引き起こすと、母体にも生命の危険が及んでしまいます。

 

妊娠高血圧症候群の治療法と予防法

 

治療法

妊娠高血圧症候群が軽症の場合は、体を安静に保ちつつ食事療法がおこなわれます。

 

具体的には摂取カロリー制限や軽度塩分制限を行い、妊娠の継続を試みます。

 

高血圧が重症化した場合は降圧剤が使用されることもありますが、急激な血圧低下は胎児に悪影響を与えるので医師による慎重な判断が重要となります。

 

妊娠高血圧症候群の最も効果的な治療法は妊娠の終了、すなわち出産ですので、重症の場合は妊娠週数が十分でなくとも分娩を優先することもあります。

 

予防法

妊娠高血圧症候群はその原因がはっきりと定まっていないため、確実な予防法というものはありません。

 

現状は、罹患したとしても重症化しないようにすることが重要で、そのためには主治医の健診をきちんと受診することがなによりも大事になってきます。

 

一般的に高血圧予防には、食べ過ぎや塩分過多を控えることが有効とされますが、自分の判断で極端なカロリー制限や塩分制限をすることはかえって危険ですので、やはり医師と相談して取り組むべきでしょう。

 

まとめ

妊娠は体にいろいろな変化を起こします。

 

それまで高血圧などとは無縁であった人でも妊娠高血圧症候群は起こり得る病気です。

 

そしてやっかいなことに、確実な予防法はありません。

 

しかし、健診をしっかり受けることで早期発見につながったり、妊活中から食事に気を付け肥満を回避できれば、危険因子の一つを前もって取り除くことができます。

 

いざ妊娠した時に不安にならないよう、健康的な生活をこころがけ、元気な赤ちゃんを産める体づくりを目指しましょう。

 

 

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