常位胎盤早期剥離とは

常位胎盤早期剥離とは

カルテと聴診器

 

妊婦特有の疾患で母子ともに危険な状態になる可能性のあるものの一つがこの常位胎盤早期剥離です。

 

名称からして恐ろしいですが、実際生命の危険もあるので、妊婦さんは必ず知っておきたい疾患です。

 

どのような人がなりやすいか、発症確率はどれくらいなのか、詳しく見ていきたいと思います。

 

目次

  1. 常位胎盤早期剥離とは
  2. 常位胎盤早期剥離の原因
    1. 早期剥離の既往
    2. 妊娠高血圧症候群
    3. 高齢妊娠
    4. その他の危険因子のリスク
  3. 常位胎盤早期剥離の症状
  4. 常位胎盤早期剥離の危険性
  5. 常位胎盤早期剥離の治療と予防法
    1. 治療法
    2. 予防法
  6. まとめ

 

常位胎盤早期剥離とは

通常、胎盤は出産後しばらく(15~30分後)してから自然にはがれ、外に出ます。

 

しかし、なんらかの原因でまだ赤ちゃんがお腹の中にいる段階で胎盤が子宮からはがれてしまうことがあります。

 

これが常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)です。

 

発症頻度は全妊婦の0.49~1.29%と言われていますが、軽症の場合は無症状となりますので、実際の頻度はもう少し高いかもしれません。

 

常位胎盤早期剥離の原因

常位胎盤早期剥離の原因はいまだ詳しく解明されていませんが、現在早剥の危険因子としては以下のものが考えられています。

 

早期剥離の危険因子

  • 早期剥離の既往
  • 妊娠高血圧症候群
  • 高齢妊娠
  • 喫煙
  • 打撲などの外力
  • 血栓性素因
  • 絨毛膜羊膜炎
  • 子宮筋腫

 

早期剥離の既往

常位胎盤早期剥離は一度発症すると再び罹る確率が高く、反復発症率は5.5~16.6%と言われています。

 

危険リスクは全因子の中で最も高い10~25倍とされていますので、前回の妊娠で早期剥離になった人は注意が必要です。

 

妊娠高血圧症候群

様々な合併症を発症しやすい妊娠高血圧症候群も、早期剥離の危険因子の一つです。

 

妊娠高血圧症候群の人は通常より早期剥離の可能性が2.1~4.0倍高くなります。

 

妊娠高血圧症って?その原因、症状、治療法とは?

 

高齢妊娠

高齢妊娠も様々な出産リスクが高まりますが、早期剥離の可能性も35歳以上だと1.2倍高まります

 

妊活中のアラサー女子に知っておいてほしい、高齢出産のリスク

 

その他の危険因子のリスク

これらの他、喫煙で1.4~1.9倍、多胎妊娠(双子など)で1.5~3.0倍、前期破水で2.4~4.9倍、羊水過多症で1.5~10倍、血栓症素因で3.0~7.0倍、となっています。

 

常位胎盤早期剥離の症状

症状は、胎盤が剥がれている程度や進行具合によって異なってきます。

 

内出血がメインであるため、約7割に下腹部痛、背部痛、子宮などに限定的な鈍痛がみられます。

 

また性器出血はおよそ8割でみられますが、出血量は少量です。

 

その他子宮収縮、子宮筋緊張、板状硬(ばんじょうこう・板のように腹筋が硬くなる)などがありますが、これらは切迫早産の徴候とも類似しているのが特長です。

 

常位胎盤早期剥離の症状データ

日産婦誌59巻12号「8 常位胎盤早期剥離」より引用

 

常位胎盤早期剥離の危険性

常位胎盤早期剥離が怖いのは、母子ともに生命の危険にさらされる可能性があるところです(母体死亡率は1~2%、胎児死亡率は30~50%)。

 

胎児の死亡率は剥離した面積に比例し、50%以上の剥離があると死亡率は高くなります。

 

いっぽう母体に起こる症状で怖いのが「DIC(播種性血管内血液凝固症候群)」です。

 

DICとは、何らかの原因により血液の固まる作用が強くなりすぎてしまい、体の各所に血栓ができてしまう症状のことで、いざ出血した場合に必要な凝固因子が足りず、血が止まらなくなってしまうという非常に危険なものです。

 

出血多量によるショック、内臓の機能障害を引き起こす可能性に加え、子宮摘出や母体死亡の可能性もあるため、やはり可及的速やかな処置が重要になってきます。

 

常位胎盤早期剥離の治療と予防法

治療法

胎盤剥離は修復できるものではないため、治療方法としては原因の除去、つまり分娩しかありません。さらに、胎児の予後のことを考えると、分娩までの時間が長くなればなるほど悪化するので、できるだけ早く分娩を完了させる必要があるのです。

 

ただし、剥離面積が小さく胎盤が正常に機能しているような軽症の場合は入院して妊娠を継続させます。

 

予防法

前述の通り、常位胎盤早期剥離の原因は明確に判明していないため、確実な予防法は存在しません。

 

できることと言えば、喫煙を控えたり打撲などの外的な事故に注意することぐらいですが、血圧を管理したり、健診をしっかり受けることが早期発見につながり、結果としてリスクを低下させることができます。

 

まとめ

常位胎盤早期剥離は母子ともに危険な疾患です。

 

確実な予防法はありませんが、早期発見が予後の改善には何よりも重要となりますので、ちょっとおかしいな、と思ったときはすぐに主治医に相談しましょう。

 

 

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