妊活女子は免疫力の低下に要注意

妊活女子は免疫力の低下に要注意!

妊活女子と免疫力

 

当たり前の話ですが、妊娠を希望する女性は健康でなければなりません。

 

そしてその健康を維持するために必要なのが免疫力です。

 

ですので妊活中の女性はつねに免疫力のある体でなければならないのですが、じつは女性には必ず免疫力が低下する時期があり、妊娠初期もその一つです。

 

免疫力が低下する原因とその時期についてあらかじめ把握しておくことは、妊活女性にとってとても大事なことなのです。

 

目次

  1. 免疫力が低下する原因
  2. ホメオスタシスの仕組み
    1. 自律神経系とは
    2. 内分泌系とは
    3. 免疫系とは
  3. 妊活女性の注意すべき、免疫力低下の時期
    1. 生理とホメオスタシス
    2. 妊娠初期と免疫力
  4. まとめ

 

免疫力が低下する原因

結論から言いますと、免疫力が低下する最大の原因は「過度なストレス」です。

 

ここで言う「ストレス」は仕事や人間関係などの精神的なストレスだけでなく、暑さや寒さなどの環境的なもの、空腹や睡眠不足などの生理的なものも含めた広い意味での「ストレス」です。

 

そして人間には「ストレス」に対する防御システムが備わっており、これを「ホメオスタシス(生体恒常性)」といいます。

 

ホメオスタシスは

 

  • 自律神経系
  • 内分泌系
  • 免疫系

 

という3つの機能からなり、これらが相互に作用することでストレスを除去するのです。

 

しかし、ストレスが大きすぎたり長期間続くとこのシステムに異常をきたし、そのうちの一つである免疫力も低下してしまいます。

 

ホメオスタシスの仕組み

人間の体内で、ホメオスタシスは実際にどのように機能しているのでしょうか?

 

自律神経系・内分泌系・免疫系それぞれの機能について見ておきましょう。

 

自律神経系とは

自律神経は、心臓の鼓動や、胃腸が食べたものを消化して排出するなど主に生命活動の維持を司る神経で、自分の意志とは無関係に働いています。

 

そしてこの自律神経には、何らかの刺激に対して各器官を働かせようとする「交感神経」と、体を元の穏やかな状態に戻そうとする「副交感神経」があります。

 

交感神経と副交感神経

例えば運動をすると脈拍は上がります。これは交感神経が働いて酸素をできるだけ多く各細胞に届けようとするからです。

 

それに対し寝ているときは脈拍は下がります。これは副交感神経が働いてできるだけ無駄なエネルギーを使わないようにしているからです。

 

このように交感神経と副交感神経は、ひとつの器官に対して相反する作用を与え、シーソーのようにその時々でバランスを保ってくれているのです。

 

自律神経の司令塔、視床下部

この自律神経のオンとオフのスイッチは、脳内の視床下部という所が指令を下しています。

 

あるストレスを受けた場合、大脳からの情報を受け取った視床下部は、交感神経にノルアドレナリンを分泌させ、その刺激を受け取った副腎髄質はアドレナリンを分泌します。

 

アドレナリンは聞いたことがあると思いますが、心拍を早めたり血圧を上昇させたりする物質です。

 

人は危機に陥ったとき、逃げたり攻撃したりするために体を素早く動かさなければなりません。そのためには血流を早くする必要があるのでアドレナリンが分泌されるのです。

 

内分泌系とは

内分泌とはすなわちホルモンの分泌と考えてもらってかまいません。

 

自律神経系が主に末梢神経を経路としているのに対し、内分泌系は血液を経路として情報伝達を行っています。

 

体の各所にある分泌腺から放出されたホルモンは、血流にのって全身に運ばれ、特定の器官にたいして特定の作用を促します。

 

内分泌系の司令塔でもある視床下部

自律神経の司令塔である視床下部は内分泌系でもその役割を果たします。

 

あるストレスを受けた時、大脳からの情報を受け取った視床下部は、すぐ下に位置している脳下垂体に命令を下し、エンドルフィンという神経伝達物質を放出させます。

 

このエンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれるもので、痛みや不安、緊張をやわらげる作用があります。

 

マラソンをしていて気分が良くなることを「ランナーズ・ハイ」といいますが、これは脳内でエンドルフィンが分泌されているからです。

 

また、脳下垂体は同時に「副腎皮質刺激ホルモン」も分泌しています。

 

このホルモンによる刺激を受けた副腎皮質は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。

 

コルチゾールとストレス

コルチゾールには栄養素の代謝などの作用もありますが、ストレスを受けた状態では交感神経を刺激して血圧を上げたりする「抗ストレス作用」が働きます。

 

また、危機的状態での活動エネルギーを確保するため、「抗炎症作用」や「抗免疫作用」が働き、体の炎症や免疫活動にエネルギーが消費されないようにします。

 

もしストレスが持続する場合はコルチゾールの分泌量が増え、結果的に免疫力が低下するという状態に陥ってしまいます。

 

免疫系とは

免疫系は、体内に異質なものが侵入するとそれを認識し排除しようとするシステムです。

 

その主役は免疫細胞である白血球です。

 

3種類の白血球

白血球には

 

単球

マクロファージ
樹状細胞(じゅじょうさいぼう)

リンパ球

T細胞
NK(ナチュラルキラー)細胞
B細胞

 顆粒球

(かりゅうきゅう)

好中球(こうちゅうきゅう)
好酸球(こうさんきゅう)
好塩基球(こうえんききゅう)

 

という大きく分けると3つの種類があり、それぞれ役割があります。

 

単球であるマクロファージは細菌などを食べてしまうと同時に、その情報をリンパ球であるヘルパーT細胞に伝えます。

 

またリンパ球の一つであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は常に体内をパトロールしており、ガン細胞などを見つけた場合即座にこれを攻撃します。

 

免疫力と葉酸の関係

 

免疫系の情報伝達物質サイトカイン

マクロファージやヘルパーT細胞はサイトカインというタンパク質を産生して他のリンパ球を活性化したり、細胞内の細菌の増殖を抑えたりします。

 

このサイトカインは免疫系だけでなく、自律神経系や内分泌系にも作用し、体の機能全体で外部からの異物の侵入に対処しようとするのです。

 

妊活女性の注意すべき、免疫力低下の時期

これまでホメオスタシスについて説明しましたが、上述のように免疫力の低下はおもに過剰なストレスによって引き起こされます。

 

そしてこのストレスは、精神的なものだけでなく、環境的なものや肉体的なものによってももたらされます。

 

生理とホメオスタシス

女性特有の肉体的ストレスの一つが生理です。

 

生理の直前~生理中は風邪を引きやすいとされますが、これは免疫力が低下しているためです。

 

生理直前の時期は体内ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

 

女性ホルモンと自律神経、免疫力の関係

生理が始まる直前の体内では、「エストロゲン」や「プロゲステロン」などの女性ホルモンの量が減少しています。

 

エストロゲンとは、「卵胞」や排卵後に卵胞から変化した「黄体」が分泌するホルモンで、子宮内膜に受精卵を着床しやすいよう働きかけます。

 

またエストロゲンには自律神経を整える働きがありますので、自律神経の乱れによる免疫力の低下を防いでくれます。

 

黄体から分泌されるプロゲステロンにも、体温を上げて血流を良くし子宮内膜を着床しやすい状態にする働きがあります。

 

体温を上げると血中のリンパ球の数が増えるので、免疫力も上がります。

 

しかし、体が妊娠しなかった場合=受精しなかった場合は黄体が消滅し、エストロゲンやプロゲステロンの量が減ります。

 

エストロゲンによって整えられていた自律神経は乱れやすくなり、またプロゲステロンによって上げられた体温も低下し、リンパ球の数が減少するので免疫力も低下してしまいます。

 

妊娠初期と免疫力

では、体内で受精が成功し妊娠した場合はどうでしょうか?

 

生物学的に見た場合、受精卵というのは半分は自分ですが、半分は自分ではない「異物」です。

 

通常、たとえ親子や兄弟の間であっても、一卵性双生児以外では内臓などの移植をすると体の免疫機能が働いて拒絶反応が起こります。

 

しかし妊娠の場合、異物であるはずの受精卵は、母親の免疫細胞から(ほとんど)攻撃されません。

 

人が子を宿しその子を出産する、というのは当たり前のことのように思ってしまいますが、じつは免疫学的に見るときわめて特異な現象なのです。

 

着床時の母親の免疫反応

受精卵が子宮内膜に着床した瞬間から、お母さんの体はこれを「異物」とみなしています。

 

受精卵にある父親の遺伝子情報が「抗原」となり、この抗原に対する抗体が母親の体内で産生されるのです。

 

通常、病原菌などの異物に対しては、この異物が消滅するまで抗体を産生しますが、受精卵が着床した場所すなわち胎盤では、拒絶反応を抑制する抗体=遮断抗体も産生されます。

 

また、免疫機能を抑制するホルモンや、胎児と母親の血液の通り道となる絨毛(じゅうもう)の組織細胞を増殖させるサイトカインなどが分泌されます。

 

つまり、母親の体は受精卵を「異物」とみなすことで妊娠を持続することができるのであり、免疫機能がないと逆に胎児を出産まで育てられないことになるのです。

 

細胞性免疫の低下

人の免疫機能はリンパ球であるヘルパーT細胞がその司令塔の役割を果たします。

 

このヘルパーT細胞には、おもにNK細胞やキラーT細胞を活性化するTh1細胞と、抗体を作らせるB細胞を活性化するTh2細胞があります。

 

Th1細胞による免疫機能は細胞性免疫と呼ばれ、主に細菌やウィルスの侵入に対して発動する免疫です。

 

いっぽうのTh2細胞による免疫機能は液性免疫と呼ばれ、主に花粉やダニなどのアレルギー物質に対する免疫です。

 

  Th1細胞 Th2細胞
対象 細菌・ウィルス アレルギー物質
免疫系 細胞性免疫 液性免疫
活性 マクロファージ・NK細胞 B細胞・抗体

 

この両者は互いに抑制する性質がありますが、妊娠した女性の体内ではTh2細胞が優勢となり、Th1細胞の活動を抑えようとします。

 

受精卵が着床してもTh1細胞が抑制されずにいると、受精卵は細胞性免疫によって攻撃され、流産となってしまうからです。

 

妊婦が妊娠初期に免疫力が低下するのはこの細胞免疫であり、妊娠を持続するのに必要な体の変化なのです。

 

まとめ

妊活女子の注意すべき免疫力の低下について述べてきました。

 

まとめますと、

 

  • 免疫力低下の原因は広い意味での過度なストレス
  • 女性は生理の時や妊娠初期に免疫力が低下する
  • 妊娠初期の免疫力は低下は、妊娠の持続のためには必要な体の変化

 

となります。

 

妊活中においては、生理の時は睡眠不足や不摂生で体に余分なストレスをかけないようにすることが大事です。

 

また妊娠初期の免疫力低下に備えるには、普段から食生活や運動で自身の免疫力を高く保っておくことが重要です。

 

自身の為でもあり、やがて生まれてくる赤ちゃんの為でもあることを忘れないでいただきたいです。

 

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